離婚は、結婚の10倍くらい大変と言われるように、心身ともに疲弊し相当のストレスをもたらします。
しかもそれは、自分から望んだ離婚であっても…です。
離婚によって感じるストレスの原因は、パートナーに対する怒りや不信感などの直接的な感情によるものだけではありませんよね。
【離婚の不安】
・一人で生きていくことへの不安(子供がいる場合シングルマザーとして)
・経済面での不安
・離婚手続きでの疲労
・世間の目の恐怖
・結婚への後悔と失望
など、悲しみや怒り、後悔、自責の念、自信喪失などあらゆる感情がごちゃ混ぜになってしまう…
それが離婚なのです。
そして、そんな離婚によって生じてしまったストレスは、時間の経過とともに少しずつ癒えていくのが一般的ですが、中にはいつまでもその負の感情に心が支配されたまま次第に「うつ」にまで発展してしまう事もあるようです。
そして、私も自分から望んだ離婚でありながら、その後実際にうつのような症状に見舞われ、苦しみました。
そして離婚についての悩みは、あまり人に話しづらい為、一人で抱え込んでしまう傾向にあること。
また、離婚後の生活は慣れない環境や職場、またシングルマザーの方は家事と育児の両立など、毎日目まぐるしい忙しさの中で、うつの症状を自覚しにくく、気が付いたら重症化してしまうケースも多いようです。
では、離婚によるうつ症状を乗り越え、離婚を新しい人生のスタートなのだという風な気持ちに転換させるには、一体どのようにしたら良いのでしょうか。
そこで今回は、離婚によるうつの具体的な症状の例と乗り越え方について、お話していきます。
【この記事の目次】
うつ病の主な症状
一般的なうつの症状と言われているのは以下の通りです。
【うつの症状】
・睡眠障害(不眠、過眠)
・動作や思考力の低下
・やる気、集中力がなくなる
・落ち着きがなく、いつもそわそわする
・優柔不断になる
・落ち込んでいる状態が常に続いている
・いつも自責の念にかられ、自分の存在価値を見出せない
・毎日疲れている
・食欲不振、激やせ
・自殺願望が芽生える
・何事にも興味・喜び・楽しさを感じることができない
このような症状にいくつも当てはまる方は、日常生活に支障をきたす恐れがある為、受診が必要です。
身体的・精神的ストレスが強く消化不良を起こしたり、また「うつに似た感覚が続くな…」と思っていたらそれはうつ病なのです。
そして実際に離婚うつで悩んでいた方は、具体的にこんな症状が表れたようです。以下にお伝えしていきます。
離婚うつの症状Aさんのケース)お金の悩みが尽きないのに働けない
子連れ離婚を経験したAさん。
早く離婚したい一心から養育費についての取り決めも口頭だけで済ませ、少ない貯金でもこれから働けば子供と2人くらいなんとかなるだろうと思い、半ば勢いで子供と家を出ました。
しかしいざ子供と2人で生活を始めると、思ったほどの収入は得られないのに、出費は増すばかりであっという間に貯金も尽きました。
しかも離婚からたった半年後、元夫に新しい彼女ができたらしいことを風のうわさで聞き、その頃から頼みの綱だった養育費の支払いが滞りはじめ…。
夫に未練があるわけではありませんが、自分はこんなに必死に頑張っているのにと、今では自由気ままに暮らす元夫との、幸せだった日々のことを毎日思い出しては子供に隠れて泣く日々。
次第に食欲も体力も落ち、本当はもっと働かなくてはならないのに思うように体が動かず、現在も短時間のパートが精いっぱいで、毎日ぎりぎりの生活を送っているようです。
離婚後、金銭面で悩む方は多いよう。
働きたくても思うように働けない…このようなもどかしい気持ちが、さらにうつの症状を悪化させてしまうのです。
さらにうつ状態になると、現実逃避をしたい思いからか、昔の思い出が美化されもう戻れない離婚前の生活を懐かしみさらに気分が沈んでしまうことも多いようです。
離婚うつの症状Bさんのケース)大好きだった趣味に一切興味がもてなくなった
ビーズやパッチワークなどの細かい作業が大好きだったBさん。
この趣味に没頭している間は無心になり、自身のストレス解消法にもなっていました。
しかし離婚後はなぜか、毎日何もやる気が起きず、あんなに大好きで暇さえあればおこなっていた趣味も、全くしたいと思う意欲が湧きません。
自分を奮い立たせようと一度、無理やり作業を試みたことがありましたが、心が無心になることはなく、集中力が全く続きませんでした。
やることがないと毎日余計なことばかり考えてしまい、自分は生きている価値のない人間なんだと、常に死ぬことや死ぬ方法などを探す日々。
そんなある日、ふと鏡を見てみると、そこには全くの別人かと思うほどやつれ、変わり果てた自分がいたそうです。
このように今まで大好きだったものが急に受け付けない、一人でいるといつも自分を追い込んでしまう考えしか浮かばないのも、うつの特徴です。
離婚うつの症状私のケース)体験した離婚うつ
私は離婚当時は、離婚うつや離婚ストレスなどといった言葉があるというのを知らなかったため、自覚していませんでしたが、今思えば明らかにそれに近い症状がありました。
まず決まって子供が就寝した後の習慣にしていた、寝付くための1~2杯だけのお酒が止められなくなりました。
毎晩いつ寝たか分からないなくなるまでお酒を飲み、その間は子供の寝顔を見ながらずっと悲観的なことばかり考えてしまいます。
滅多に二日酔いにならない体質なので、朝は普通に家事をし、子供を保育園に送り届け、夕方まで仕事をしても周りに気づかれることなく、日々の飲酒量だけどんどん増えていきました。
そのうち娘の就寝後に飲み始めたのでは、飲酒する時間が足りないと思うようになり、お風呂上りから飲む、夕飯を食べながら飲む、夕飯を作りながら飲む、帰宅直後から飲むというように時間はどんどん前倒しになっていきました。
そうなるといくら翌日に響くことはなくても、幼い子供の前で自分の酔っぱらった姿を見せてしまうことは何度かあり、私がネガティブな発言をして子供に慰めてもらうことも正直ありました。
現在では愛する子供のおかげや、新しいパートナーとの出会いもあって、私は何とか自力で飲酒量をコントロールすることができつつありますが、実はまだ完治までは至っていないと思います。
私のように、離婚後のうつ症状とアルコール依存が合併するケースは、男女問わずとても多いようです。
そしてアルコールがうつ症状をさらに悪化させ、それを払しょくするためにまた飲酒量が増えるといった悪循環に陥ってしまうので、簡単にそのループから抜け出せず、完治するのにたくさんの時間を要します。
離婚うつの症状④布川敏和さん、西原理恵子さんの場合
2014年に離婚したタレントの布川敏和さんも、離婚うつの症状に悩まされたうちの一人だそうです。
職業柄、離婚騒動の渦中でマスコミからの取材攻撃が続いたこともあり、外にあまり出ず家に引きこもることが多くなったそう。
そして1日中家にいても何をするのもおっくうになって、自室の片づけができず服や物の散乱したゴミ部屋と化したそうです。
布川さん自身も当時は「ノイローゼになりかけていた」と症状を自覚している発言をしていました。
そして漫画家の西原理恵子さんも、2003年の離婚後には突然涙が溢れ、漫画を描けなくなるほどの激しいうつの症状に悩まされたと話していました。
このように離婚うつは、誰にでも起こりうる可能性があり、人によって症状の表れ方や重さの違う病です。
では、このような症状が表れた場合、自分でどのように乗り越えていけば良いのでしょうか。
離婚うつの乗り越え方
信頼できる誰かに相談する
一人で悩んでいても、答えはネガティブな方へ向かうばかりでいつまでも解決できません。
だからと言ってそのような精神状態では受診する気力もないでしょう。
ですからまずは勇気を出して友人や家族、たった一人でも良いので自分の胸の内をさらけ出してみてください。
人に話すことで、自分の気持ちの整理ができたり、話を聞いてくれる人がいると思うだけで安心し、気持ちが落ち着いてくるでしょう。
精神科・心療内科の受診も視野にいれる
うつは精神的疾患ではなく、脳の中でセロトニンやノルアドレナリンといった特定の脳内物質の分泌がストレスによりうまくされずに起きてしまう病気だと言われています。
つまり、ストレスによって胃液の分泌異常が起きて、胃壁を荒らしてしまう胃潰瘍などと同じく、投薬治療でも治すことのできる病気なのです。
ですから一刻も早い症状の改善を望むのならば、心の内を明かした友人や家族の同伴のもとでも良いので精神科や心療内科の受診も検討してみてください。
敢えて思い切り泣く
泣くというのはネガティブなことと捉えがちですが、実は心の浄化作用があるんです。
みなさんも泣いた後、何故か気分がスッキリすることはありませんか?
悲しいことや悔しいことなどを自分の中に溜めて我慢し続けていると、ストレスを同時に溜め込んでしまうことになります。
それを繰り返すとますますうつの症状が悪化してしまうので、時には素直に泣いて感情を爆発させること。
これがうつ症状を軽減する効果的な方法でもあるのです。
終わりに…
いかがでしたでしょうか。
意外と自分では初期には気づけない「離婚うつ」の症状。自分に当てはまった方も少なくないのではないでしょうか。
でもこのような症状が表れやすいことを知っておくだけでも、自分で対処しようとする意識は芽生えますし、もしかしたら重症化を防ぐことができるかもしれません。
そして、周りの離婚した友人や親族がもし悩んでいるようだったら、そっと手を差し伸べてあげてください。
離婚した人の家族を失った喪失感と孤独感は相当なものなので、身近に自分を理解してくれる人がいると分かるだけで、心が救われるのです。
せっかく人生における重大な決断をしたのですから、離婚は絶望ではなく希望に満ちた新しい人生のスタートを切れるきっかけなのだと気持ちの切り替えをし、うつ症状なんて吹き飛ばせるような後悔ない人生を目指しましょう。
孤独で、孤独で
死にたいです。