突然ですが、みなさんは「ステップファミリー」という言葉を耳にしたことがありますか?
一言でいうと子連れ再婚をした家族のことで、血縁関係のない親子や兄弟を含んだ新しい家族のことを指します。
離婚・再婚の多い今の日本では、このステップファミリーが年々増加しており、山口もえさんや広末涼子さん、土屋アンナさんなど芸能界にも数多くいますね。
…そして実は私の家族も5年前、私が当時小学校2年生だった娘を連れ、初婚の彼と再婚をし、新たに一女を儲けて暮らすステップファミリーです。
この5年間家族全員がとても前向きに、そして幸せに暮らしていますが、もちろん悩みや問題がなかったわけではありません。
そして、その問題を解消できず別々の道を歩むことを選択するステップファミリーの離婚率はなんと50%にものぼるそうです。
では、ステップファミリーだからこそ直面する問題とは一体なんなのでしょうか。そして乗り越えた先の幸せとは?
今回は、ステップファミリーが抱える問題点、特に大きな2つについて実体験を交えてお伝えしていきます。
そして、ステップファミリーとして私たち家族が5年間(交際期間を含めると7年間)幸せに暮らせている家族のカタチについても、お話したいと思います。
ステップファミリーにおける子供と義親との距離
ステップファミリーが直面する悩みの一つに、子供と義親との距離や溝をどう埋めていけば良いのかということがあると思います。
子供の年齢や性別にもよりますが、実親の都合で片親を失い、また実親の都合で新しい親ができる…子供の心にとってこんな複雑なことはありません。
一見仲良くしているように見えても、それは実親を困らせたくないからだと私は思います。
そして中には、義親に心を開くことができず冷たい態度を取ってしまう子供もいます。
でも子供の気持ちを考えたら当然ですよね。
<実親の気持ち>
・早く子供とパートナーに仲良くなってもらいたい
・こんなにパートナーが気を遣ってくれてるのに、なぜ我が子の態度がつれないのか
・このままじゃ、パートナーに捨てられてしまうかもしれない
<義親の気持ち>
・早く本当の親子になれるように頑張ろう
・こんなに頑張っているのに、何で子供が全然心を開いてくれないのか
・描いていた家族像と違う…間違いだったかな
このように考えてしまう夫婦は、ステップファミリーの暮らしに向いていないでしょう。
焦ったり思いを押し付けたりしても、子供の心は開かないどころかますます閉ざしてしまいます。
そこで義親と子供の距離を縮めるには、単なる愛情の押し付けではなく「今まで片親だとしてあげられなかったが、再婚し両親が揃っていることによってできること」をたくさん子供に体感させてあげるべきだと思います。
私の問題解決エピソード
私の娘が今の夫と初めて3人で会ったのは、5歳の時でした。
もともと再婚を視野入れた交際でしたので、夫も少し気合が入っていたのだと思います。
仲良くなろうと積極的に抱っこしたり、手をつないだりしてくれて、それに対し最初は娘もニコニコと応じていました。
ですが、娘はだんだんと3人で会うことに難色を示しだし、遂には突然大泣きし始めたのです。
理由を聞いても、ただ泣くばかりで教えてくれず本人の思いは察することしかできませんでしたが、きっと娘は相当の無理をしてくれていたのでしょう。
そこで夫は、私と娘が二人で遊んだり話している所の近くでただ静かに見守るだけという行動を始めました。
娘が一緒の時は、私とも必要最低限のことしか話さず、ただ娘と私の「そばにいる」だけです。
そんな中で、私が苦手なことやできないこと(難しいアスレチック、動物に触ること、遠出の旅行の手配など)のある時だけ、自分アピールもかねて夫が活躍するというのを繰り返してみました。
すると次第に娘は夫を尊敬するようになり、どんどん自然に話せる関係になっていったのです。
このように最初から父親面をするのではなく、私一人では娘にしてあげられなかったことを叶えてくれる人として、夫の存在価値を幼い娘が見出し、また夫がその思いだけに応える存在に徹してくれたことで、良好な関係を築いていけたのだと思います。
ステップファミリー夫婦の妊娠・出産
これも非常にデリケートな問題です。
ステップファミリーの夫婦が新しく子供を持つということは、家族間の血のつながりがさらに複雑化します。
そして例え普通の一般家庭でも、どうしても手のかかる赤ちゃんに掛かりきりになって上の子に寂しい思いをさせてしまうのに、連れ子の場合は「実子じゃないからだ」「自分の地位を取られてしまった」と解釈されてしまい、さらに精神的な不安が増してしまいがちです。
また残念ながら、最初は連れ子と実子を分け隔てなく育てようと誓っていても、いざ自分と血のつながった子供が生まれるととても可愛く、知らず知らずのうちに連れ子と実子を差別してしまう義親もいます。
ステップファミリーに新しい家族が増える際には、一般家庭以上に上の子の気持ちに寄り添い、時間と愛情をかけ続けなければならないのに、です。
私の問題解決エピソード
私に赤ちゃんができたことを初めて娘に告げた時、「きょうだいはいらない」と言われました。
当時娘は小学2年生。
血のつながりがどうとか、そこまでは考えていなかったと思いますが、私と夫が下の子の方ばかり向いてしまう気がして嫌だったのでしょう。
でも私は、娘が嫌な気持ちを抱えたまま出産するのは絶対に嫌だったので、夫と相談して、あることをいつも伝え続けることにしました。
それは、
「生まれてくる赤ちゃんは、私と○○(夫)とあなたの3人の子なんだよ」
「親とかお姉さんとかではなく、私たち仲良し家族の元に生まれてきてくれる赤ちゃんだから3人で育てていこうね」
ということ。
ですから、病院の検診や赤ちゃんグッズの買い物にもできる限り3人で行くことを心がけ、名前も3人で一緒に考えました。
すると娘の意識が変わり、下の子の誕生を我が子のように心待ちにしてくれるようになりました。
年が離れていたことも幸いしているのだと思いますが、出産から4年目の今では、すっかり下の子の第2のお母さんです。
赤ちゃんと小学生の娘に、全く同じ種類の愛情を与えるのは難しいと判断した上で、娘も私たち夫婦と同士にしてしまおうというのが私たちの考えでした。
私たち家族のカタチ
ステップファミリーである私たちは、血のつながりのある一般家庭と全く同じような家族を初めから目指していません。
ですから夫のことは妻である私、連れ子の娘、実の娘全員が同じニックネームで呼んでいてまるで友達のようでもあります。
そして私のことは夫含め、全員が「ママ」と呼んでいます。
金銭面や家族の決め事の最終決定は夫が担っていますが、それ以外の家庭での出来事において、私は家族全員のママとして、夫も含めた全員の躾をし、厳しく叱ります(笑)
ですが下の娘のこととなると、時に全員が親目線になることもあり…とコロコロと家族におけるみんなの立ち位置が変わるのです。
それは「両親と子供」とはっきり線引きをした家族ではなく、一つのグループ、チームのような家族のカタチなんだな、と私は日々感じています。
これは私の憶測ですが、もしかしたら離婚に至ってしまった50%のステップファミリーたちは、血のつながりがないことを周りに1ミリも感じさせないくらいの、完璧な本物の家族を目指しすぎたのではないでしょうか。
それくらいの熱い想いを持つことは、連れ子にどうしても愛情を持てない人も多くいる中で、本当に素晴らしいことだと思います。
しかしその理想が高すぎたために、思い通りにならない現実とのギャップが開きすぎ、家族として成り立たなくなってしまったのかもしれないのは、正直残念でしかありません。
一般家庭のスタートとは最初から違うのですから、全員でそれを受け入れ、自分たちらしい家族のカタチを見つけることができれば、必要以上に頑張らなくて良いのです。
終わりに…
いかがでしたでしょうか。
私たちステップファミリーは、子連れの母親と初婚男性のケースです。
もちろん子連れ男性と女性、または両方子連れであるケース、子供の性別や年齢など、状況も違えば気持ちや問題の解消法も全く変わってくることでしょう。
ですが人は十人十色というように、家族、そしてステップファミリーのスタイルも全て違って当然なのです。
一つだけ言えることは、人(子供)の心を変えるには、無理やりや短期戦では絶対に不可能だということ。
子供から反抗されても冷たく接されても、これはステップアップファミリーにおける一つの通過儀礼なのだと思ってください。
長い目でじっくりゆっくりと、愛情をかけるのではなく「愛情を感じさせてあげること」が大切だと思います。
今後も増え続けるであろうステップファミリー。
血のつながりを超えた新たな幸せが、どうかいつまでも続くことを私自身も強く願っています。