離婚…。
そのほとんどが、パートナーとの夫婦関係が何らかの理由で破綻してしまったことにより、婚姻関係を解消することになったのだと思います。
となると、離婚後も「元夫婦」が一つ屋根の下に住み続けることは難しく、離婚するにあたり、まず考えなくてはならないのが「離婚後の住居」です。
ですが、一口に離婚と言ってもその理由は実に様々。
性格の不一致・不倫・借金・モラハラ・DV・セックスレス…。
最近では親族との折り合いが悪いことも離婚原因の上位に上がってきているようです。
ですから離婚理由が様々なように、きっと離婚後の住居や環境にも様々なケースがあることでしょう。
私はまだ娘が4歳の時、DV夫から逃れるために離婚をしました。
当然、円満離婚ではなかったので離婚調停中から離婚後も、元夫が仕返しのために私たちを探しに来るのではないかと、しばらくの間怯えて暮らす日々が続きました。
そういう経験もあって、離婚の中でもDVによる原因が、特にその後の住居選びに慎重になるのではないかと思ったのです。
それに子供がいるなら、子供のためにも1番ベストと思える環境を与えてあげなければいけませんよね。
ですから今回は、DVによる離婚時にどうしたら良いか迷っている子育て中のお母さんに向けて、今後住みやすい環境をいくつかご提案していきます。
別居・離婚時の住居は絶対に知られないようにすること
まず、DVの場合は⦅離婚=逃げる⦆ことになると思います。
従って、子供と暮らす新たな住まいを相手にバレないようにしなくてはなりません。
ですから、子供がいる離婚に良くある、夫が出て行って自分たちが元居た家に暮らすことは絶対にできず、必然的に子供を連れて出ていくことになります。
しかも、家具家電や大荷物で出ていくことは難しく、最低限の貴重品と荷物…中には着の身着のまま飛び出さなくてはならないこともあるでしょう。
実家に帰る
まず、あなたにとって実家が頼れる存在の場合。
一時的に子供と身を寄せる場にするのは良いと思います。
実際私も、離婚が決まるまでの調停中は実家に置いてもらっていました。
ですが実家で暮らすことは、多くのメリットとデメリットがあるため、分けて説明します。
実家で暮らすメリット
・子育てのサポートと経済面での援助を期待できる
・子供も自分も精神面で安心できる
・仕事が見つかりやすい
離婚時の精神的、経済的な不安を解消してくれる実家。
子供も自分のおじいちゃんおばあちゃんと一緒なら、安心して過ごしてくれるでしょう。
また、シングルマザーは子供の世話で残業ができず、病気やケガで休みが多くなるというイメージを持たれるため、就職活動に苦労するという現状があります。
その点も、祖父母の監護もあることが分かれば、採用される確率がぐっと上がるかもしれません。
DVが離婚理由ではない私の友人のシングルマザーは、実際にずっと実家で暮らし、仕事も順調で貯金も計画的にできているようです。
実家で暮らすデメリット
・DV夫に見つかりやすい
・つい過度に甘えてしまい、両親に負担をかけてしまう
・児童扶養手当(母子手当)がもらえない可能性がある
・保育園入園の優先順位が下がる
DV夫がもし自分たちを探しにくる場合、まず実家を一番に疑うことでしょう。それを思うと実家に住み続けることは私たちには危険だと思いました。
また、当時父親はまだ定年前で母親もパートに出ていました。
ですから私が働くにあたり、娘を保育園に預ける必要があったのですが、通常、認可保育園入園の優先順位が上がるシングルマザーでも、実家に住んでいることでその順位を落としてしまいます。
また、働き口の少ないシングルマザーの助けとなる月額4万円前後の児童扶養手当が、両親のお金でも世帯収入が基準以上あったために、受け取れなくなってしまうことが分かりました。
そういった背景からも、調停が終わり離婚が決定してから私と娘は家を出ることにしました。(私たちがどこに居を構えたかは後程お話します)
DVシェルター
DVシェルターとは、DV被害者の避難施設で、場所は非公開とされております。
身の危険に緊急性がある場合、実家に頼れない事情がある場合、何より引っ越しどころか所持金がほとんどない場合など、DV被害を受けている人たちにとってシェルターはとてもありがたい存在であると言えます。
もちろん子供を連れて行って一緒に入居することができます。
DV夫から居場所を特定されることはまずありませんし、シェルター生活数週間の間に、自立支援まで行ってくれるのです。
ですが、はっきり言って自由は一切ありません。
居場所を特定されないために携帯電話は没収されますし、最近では増え続けるシェルター入居者の数に対し、施設の設備や管理が追い付かず、随分苦しい数週間を過ごす人も多いことが一部、問題視されているそうです。
また、子供もその間は保育園や学校に行けなくなり、突然知らない人ばかりの中での生活を強いられることにより、ストレスを感じてしまうでしょう。
しかし、DVによる離婚を決意したのなら、贅沢や綺麗ごとばかりは言っていられないはずです。
今後、子供と共に自分が幸せになる道を手に入れるためなら、一時的に辛抱することはやむを得ないと私は思うのです。
公営住宅
シングルマザーの入居が増えている公営住宅。
民間の賃貸と比べてもその家賃はとても安く、所得制限はありますが、地域によっては母子家庭は入居者を決める抽選の優先枠に入れることもあるようです。
それに子供に優しい所も多く、公園やおもちゃのおいてある集会場が併設されている所も多いようです。
同じ境遇の方同士で情報交換ができたりして、心強かったりするかもしれませんね。 ですが、問題は公営住宅が大抵郊外にあること。
すなわち車を所有していないと、とても不便な場合があるのです。
実際、私が以前住んでいた地域の公営住宅の場合、最寄り駅までバスで15分強かかり坂道も多く、普通の自転車でもかなりつらい距離。
近くにコンビニやスーパーなどもありません。
また、浴槽や給湯器、カーテンレール(換気扇までの所も)も自費で購入しなくてはならない所も多く、初期費用も安いとは言い切れず…。
職場や保育園などへ通う車の維持費やバスの交通費が、月にどれくらいかかるのかある程度計算して検討した方が良さそうですね。
実家に近い民間賃貸物件
実は、私はこちらを選びました。
こちらもメリットとデメリットが多くありますので分けて説明します。
実家に近い民間賃貸物件のメリット
・子育てのサポートが期待できる
・子供も自分も精神面で安心できる
・子供と自由に暮らせる
・DV夫に見つかりにくい
・保育園・職場が見つかりやすい
私は実家から2駅離れた場所に(徒歩で20分強の距離)1DKのアパートを借りました。
最初に挙げた、実家と同じようなメリットがありつつも、住民票に閲覧制限もかけ、DV夫から見つかりにくいことが何よりの安心材料になりました。
また、実家は近くにありつつも世帯が別なので保育園の優先度に影響はありませんでしたし、職場には「実家が近くにあるので、万一の時は見てもらえる可能性が高い」ことを強調することができました。
これは実家から遠く離れた場所なら叶わなかったことです。
実家の近くの民間賃貸物件のデメリット
・入居審査に通りにくい
・毎月の家賃や光熱費などの支出による負担が大きい
・つい両親に甘えてしまう
まず、パートの給料と手当に頼る収入では、なかなか審査に通ることは難しいと言えます。
幸いまだ父親が現役でしたので、借主を父親に頼み、借りることができました。
ですが、やはり毎月の出費は本当に痛く、手当を貯金に回すことができるような、余裕のある暮らしは一切できませんでした。
つい親に甘えて、遊びや外食に連れて行ってもらうこともしばしば…。
それでも、自分一人で生計を立てて暮らしていくことは、自立して娘と2人で幸せに暮らすんだ!という自分が前向きでいられる活力になったのは間違いありません。
子供の転園・転校について
離婚を決意し子供の今後をどうするか悩む中で、良く耳にするのが
「親の都合で子供を転園・転校させるのは、可哀想」
という意見。
私は、決してそうは思いません。
確かに親のエゴです。子供にたくさんの我慢をさせてしまいます。
ですが、それはよりも劣悪な家庭環境に子供の身を置く方が、子供に悪影響を及ぼすと思うからです。
それから、転園・転校問題と同時に浮上する、子供の姓の問題。
もし同じ学校に在籍中に姓が変わったら、それこそ同級生からのからかいの対象になってしまうかもしれませんが、転校時に変更できればその問題はあまり関係ありません。
そういったことからも、子供の転校=可哀想とは一概に言い切れないと私は思うのです。
終わりに…
以上が私の考える、DVによる離婚時にシングルマザーが住みやすい環境です。
おそらく離婚理由がDVでなかったり、子供がいない離婚の場合は、もっと選択肢が広がるのかもしれません。
そして結局は、どこに住んでもメリットに対し必ずデメリットも生じてくるので、自分がどこに妥協できてどこが譲れないのかを、きちんと明白にしておくことが大切だと思います。
辛いDVに耐えたあなたと子供の新しい人生は、毎日が新鮮できっと幸せだと思いますよ。