数ある夫婦間の悩みでも、性に関しての悩みは人に相談しにくいもの。
パートナーとの合わない性癖やセックスレスについては良く耳にしますが、みなさんは性的DVという言葉がどんなことを意味するのか知っていますか?
私は、5年に及ぶDV夫との結婚生活の中で、夫から同時に性的DVも受けていました。
離婚して7年経ちますが、もちろん誰にも話したことはありません。
今回は、「自分の受けているこの嫌な行為は性的DVなのではないか?」と感じている方に、性的DVとは何かについての説明。
また、もし私と同じように「性的DV」で悩みを抱えている方がいらっしゃったら、どのように対処したら良いのかのメッセージなど、私の体験を初めてここでお話したいと思います。
※最初に1点だけお伝えしておきたいのは、これより先は女性が読むにあたり、とても辛い内容も含まれています。興味本位だけで読み進めることはお薦めできません。
それを了承していただいた上で、性的DVへの理解を深めていただけることを願っています。
【この記事の目次】
性的DVとは
まず始めにお伝えしたいことは、「同意のないセックスは性の暴力である」ということです。
肉体への負担と精神的にも傷がつくこの行為は、相手から受けるDV以外の何物でもないと思います。
ただ今一つ認知度が低いのは、被害を受けている女性がその悩みを人に相談しにくいこと。
その一番の理由は恥ずかしいからではなく、嫌がっていても自分が結果的に受け入れてしまっているので、同意とみなされるのではないかという、後ろめたさからです。
さらに性的DVは、「断っているのに強制的に行われる性行為」そのものだけを指すのではありません。
・嫌がっているのに、無理矢理アダルトビデオやポルノ写真を見せる
(またはアダルトビデオと同じ行為をするよう強要する)
・中絶を強要する
・頼んでも避妊をしてくれない
このようなことも性的DVに該当するのに、知らない人が多く、悩みを抱えたまま苦しんでいる人が多いのが現状です。
…以下にお伝えするのは、私が受けた性的DVの数々ですが、当時の私はこれがDVであるとは思っていませんでした。
私が受けた性的DV① 中絶の強要
このことは人に話したことはほとんどありません。
私は元夫と結婚前する前に、1度妊娠したことがあります。彼は14歳も年上で、交際時に結婚の話も出ていた為、当然産むものだと思っていました。
しかし、いざ妊娠を打ち明けると
「今はまだ結婚の時期じゃないから、堕ろしてくれ。」
それに対し、しばらくの間私が拒否していると、
「じゃあ俺が腹蹴ってやるよ」
と、脅すのです。
情けない話ですが、まだ1人で育てる勇気はなく、堕胎を決意せざるを得ませんでした。
この時、私のお腹に宿った命のことは、今でも頻繁に思い出されますし、エコー写真も今も大事に持っています。
今後一生忘れることのできない後悔でしょう。
…そして中絶手術を終え、病院から戻った私が家で泣いていると、
「俺への当てつけか!!どうせ演技なんだろ!!」
と罵ったのです。
この時はまだ手術後で痛みもあり、心にも相当ダメージを負っていたのにも関わらず、泣くことすら彼を責めることになるようで、許されませんでした。
結局このような事があったのに、その後も全く避妊をしてくれず半年後、再び妊娠しました。
前回の手術からたった半年しか経っていないこともあり、私の身体に危険が及ぶため、夫は渋々結婚と出産を承知してくれました。
そんな無責任な相手とのセックスは拒否しろ。または早く別れろ。と、思うかもしれません。
私も今思えば、そうしなくてはならなかったと思います。
けれど当時の私は、威圧的に支配される事が、愛されているという事なのだと歪んだ解釈をしていたので、逃れることも拒否することもできませんでした。
私が受けた性的DV② 産前・産後のセックス
妊娠中も安定期に入れば、無理のない範囲で性行為を行っても良いと言われています。
ですが、そうは言っても妊娠中の体調の変化は激しく、体調の優れない日の方が多かった私は、とてもそんな気分になれませんでした。
また、産後も大体1か月後から可能とのことですが、昼夜問わずの授乳やおむつ替え、会陰切開の傷口の痛みや怖さから、夫には申し訳ない気持ちもありましたが、やはり気乗りはしません。
ですが、夫はいくら私が拒否しても「嫌よ嫌よも好きのうち」理論を振りかざし、自分がしたい時に強要してきます。
痛みがあったり、途中お腹が張ったりしていることを伝えても、絶対に中断してくれません。
産前ではお腹の赤ちゃんに影響がないかの心配。産後では全く気持ちがついていかず、時には涙を流しながら耐えていました。
私が受けた性的DV③ 子どもの真横で…
不眠気味だった夫は、夜中の物音一つにも非常に敏感で、睡眠を妨害されることを極端に嫌います。
ですので、寝室は夫の部屋と私と子供の部屋と分けており、夫婦生活は、寝る前の雰囲気や誘われた際に、夫の部屋で行うようにしていました。
ですが、たまに深夜3時くらいに寝付けなくてイライラしているのか、私と子供の部屋にそーっと入ってきて乱暴に襲ってきます。
自分が寝られないのに、私が熟睡していることもイライラを増幅させているのでしょう。
赤ちゃんの時ならまだしも3、4歳の子供の寝ている隣で行為が行われるのです。
拒否して怒鳴られて子供を起こしたくないので、従うしかないのです。
それに、もう一人なんて絶対望んでいるはずがないのに、相変わらず避妊もせず、また妊娠したらどうしようとその事が常に頭をよぎっていました。
私が受けた性的DV④ 人間以下の扱い
結婚生活が進むにつれ、DVもさらに激しく頻度を増していたある日。
またもイライラしていたのか、無理矢理始めようとしてきました。
これだけ毎日のように罵しり、暴力を奮い、私の事なんてもう愛しているはずがないのに何故こういう事をするのか。と、泣きながら尋ねました。
すると夫は
「お前としてるなんて思っていない。ずっと他の女を想像しながらやってるんだよ!お前はダッチワイフなんだよ!!」
と言い放ったのです。
こんな屈辱的なことはありませんでした。
それからのセックスは、ずっと後ろ向きのまま顔が見えないような体勢でしか行われませんでした。
これは、私が離婚を決意し子供と家を出るまで、半年以上続きました。
性的DVに遭った私からのメッセージ
性的DVは数あるDVの中でも、離婚の理由として認められることが困難な案件だそうです。
何故なら、身体的に受ける暴力とは違って証拠の確保が難しい事。
また調停などになった際も、被害者は細かい内容までなかなか言い出せず、逆に加害者は「結局は受け入れているのだから合意の上だ。」と言ってしまえば、第三者もそちらの言い分を取るしかないからです。
自分が拒否している証拠を残すには、録画や録音しかないかと思いますが、自分のセックスの内容を第三者に聞かせるのは、かなり抵抗があると思うので、有力ではありますが私からみなさんに薦める事はできません。
だとすると、どうするのが一番いいのか。
まず電話でDV相談窓口や、女性の悩み専門の窓口などに相談することです。
顔が見えなければ話しやすくなりますし、調停や裁判ではないので、抽象的な表現をしても許されます。
また、自分の状況がDVに該当するのか?という不安や疑問も相談することで的確なアドバイスをしてもらえます。
なにより心強いのは、被害の中で孤独だった自分に味方ができるという事と、今後どのように行動したらいいのかの道しるべを示してくれることです。
私は、身体的暴力のDV・精神的DV・金銭的DVそして性的DVを受けてきましたが、女性の性を軽んじて扱う性的DVは、絶対に許せません。
体も心も同時に傷つくのは女性だけなのですから。
だからお願いです。
今現在苦しんでいる方はそれ以上傷つくことのないように、まずは知らない遠い誰かに打ち明けてみてください。
そして、このような酷い事が今も世の中でたくさん起こっているという事を、理解していただければと思います。