今や3組に1組の夫婦が離婚しているこの時代。
数ある離婚の理由の中でも、DVによる離婚は厄介です。
何故なら、感情を自分でコントロールすることができず、いつでも自分の行いを正当化するので冷静な話し合いができる相手ではないからです。
それに、逆上してさらなる暴力を奮われる危険があるので、話し合いには第3者を同席させる必要があります。
そうなると協議離婚は難しく、調停や裁判になる可能性もあると考えるべきでしょう。
私は、付き合っていた時から数えて7年間のDV夫との生活から逃げ出し、離婚しました。
別居が突発的だったこともあり、離婚に至るまでは行き当たりばったりなことも多く、色々と苦労がありました。
ですが、今なら事前に何をしてどのように動けば、もっとスムーズに事が進んだのか分かる気がします。
ですので今回はこれから離婚を考えている方へ、私の経験を踏まえてどのような準備をすべきなのかについてお話します。
【この記事の目次】
離婚準備1、DVの証拠を日頃から集めておく
調停や裁判を想定した場合、まず重要になってくるのがDV被害の証拠集めです。
【DV被害の証拠集めの例】
・暴力を奮われた際のケガや破損した家具や壁などの写真
・病院に行った際の医師の診断書
・DV内容を詳しく記した日記
・DV最中の暴言などを録音した音声
など離婚に向けて動き始める前に、できるだけ沢山証拠を集めておきましょう。
私は、元夫から携帯電話を数台壊されていたため、あまり写真を残せませんでした。ですから早めにプリントアウトをしたり、SDカードに保存したりしておくことをオススメします。
また日記をつけていないと言う方は、後から思い出して書いたものでも有効だそうです。私は起きた出来事を、時系列にまとめたレポートを作成し調停に臨みました。
そして何より強い証拠になるのが医師の診断書です。小さな怪我でもなるべく病院に行き、診断書を作成しておきましょう。
離婚準備2、家を出る際の荷物セットを用意する
私が突発的に家を出て一番失敗したと思ったのは、荷物に関してです。
事前に準備をしていなかったため、最低限の着替えと財布、手帳程度しか持ち出せませんでした。
離婚が決まってから、荷物はめちゃくちゃに段ボールに入れたものが実家宛てに送られてきましたが、子供の母子手帳、へその緒や写真は入っておらず、おそらく二度と手元に戻ってくることはないでしょう。
そういった経験から事前に荷物を用意しておくことをオススメします。
それにDVの被害から身を守るため、計画より早い段階で、私のように突発的に家を出なくてはならない可能性も十分あり得るからです。
【家を出る際の荷物リスト例】
・数日分の着替えと下着
・現金とキャッシュカード
・子供と自分の名義の通帳・印鑑
・健康保険証・母子手帳
・免許証・パスポート
・子供の生活必需品(薬やオムツ、ミルクなど)
・子供と自分の大切なもの(子供のお気に入りのおもちゃや写真、自分の宝物など)
これらを準備し、ひとまとめにしておきましょう。
ただし、絶対にDV夫にバレない所に隠しておくか、信用できる友人などに預けるようにしてくださいね。
離婚準備3、周りの人や機関にDV被害を話しておく
私は、自分がDVに遭っていることをほとんど人に話していなかったので、いざ家を出た際に職場や同僚、友人などへの説明を一からするのは大変でした。
それにそこで私も知らなかった離婚に向けての情報なども教えてもらったので、もっと早く人に相談していれば、ここまで我慢する必要がなかったと思っています。
また友人へ相談した際のメールやラインなどのやりとりも証拠の一つとして提出できるそうです。
それから、もし身近な人に相談することに抵抗がある場合は、居住している地域にある配偶者暴力相談支援センター、役所の市民(区民)相談窓口、警察の相談窓口などに相談に行きましょう。
今後に向けての的確なアドバイスがもらえる他、来所記録を残すことで、離婚したいという気持ちの強さが明確になり、調停や裁判の際に事が有利に動く可能性が高まります。
そして何より、背中を押してくれるので行動を起こしやすくなりますよ。
警察に相談する際の注意点
ちなみに私は、夫からのDVで身の危険を感じた時、110番通報をして警察に自宅まで来てもらったことがあります。
その時事情を話した警察官から、
「旦那さんは否定しているけどどうする?傷害罪になるから被害届出してもいいけど、旦那さんと2度と元のように戻れなくなるし、お子さん可哀相じゃない?」
と言われました。
私はその投げやりな対応が怖くて、その後の行動をためらってしまいました。
きっとこのような夫婦間トラブルはたくさんあり、私がいくら訴えても夫が否定している限り大事にはしたくなかったのでしょう。
今思えば、以前から相談窓口などに相談し記録を残していたら、もっとあの時親身に対応してもらえたのではないか…と感じています。
私が受けた対応はきっとたまたま悪かっただけで、最初から丁寧に対応してくれる警察官もたくさんいると思いますが、やはり事前に記録を残しておくことは重要だと思っています。
離婚準備4、今後の住まいや仕事について考えておく
夫婦が別居をする際、別居先としてまず自分の実家が思い浮かぶかと思いますが、相手がDV夫の場合実家にずっといるのは非常に危険です。
何故なら、夫は当然自分の実家の場所を知っているので、離婚に納得できない場合連れ戻しに来たり、報復しようと押しかけたりする場合があるからです。
DV被害者が一時的に避難できるシェルターもありますが、いられる期間も決まっているので、やはり自分で離婚をするにあたり、今後どう生活の基盤を固めていくべきかシミュレーションする必要があります。
【別居・離婚後の動きで検討すべき例】
・どこで暮らすか
・仕事はどうするのか
・生活費はどのくらいいりそうか
・行政の支援はどのようなものがあるのか
・年金や健康保険は?
このようなことはざっくりでもいいので書き出しておきましょう。
ちなみに私は子供を連れて一時的には実家に帰りました。
しかし、やはり夫が押しかけてくる可能性があることが怖くて、実家に近い場所にワンルームの安いアパートの一室を借りて、そこで娘と暮らすことにしたのです。
そして当時資格も職歴もろくになかった私は、役所の子ども家庭課の相談窓口へ行き、色々な手続きをしながら家庭の状況を話しました。
そこで職員の方に職業訓練を紹介してもらい、半年間通いながら就職に向けていくつか資格を取得することができました。
このような制度があることも、離婚して初めて知ったことです。
また月に2人でどのくらいのお金が必要で、行政からの支援は何がどのくらいあるのかなど、一切分かっていなかったので、初動が遅れ生活の基盤がなかなか固まらず、両親などにとても迷惑をかけてしまいました。
また、娘の保育園もどのような園がどこにあるのか一切分からず、一から調べることになったので申請も手間取ってしまいました。
離婚をすることを決めたなら事細かくなくてもいいので、今後一人もしくは子供との生活を早く安定させるために、住む場所の候補と、ある程度その地域の情報は仕入れておくべきだと思います。
終わりに…
いかがでしたでしょうか。
DV被害に遭われている方の中には、いわゆる経済的DVも受けていて働けなかったり、お金を全て管理され、逃げるための資金がなかったりして離婚自体を諦めてしまっている方もいるかと思います。
でも決して諦めず、各支援センターなどに相談してみてください。離婚に向けて役立つ的確なアドバイスが貰えるはずです。
また、残念ながらDVによる暴力は治りませんし、傷害罪という立派な犯罪です。
かつては愛していた人なので、情で暴力がいつかおさまるのでは…という期待を持ってしまうことも痛いくらい分かります。
しかし自分や子供がDV夫と長く暮らせば暮らすほど、より暴力がエスカレートする危険が高まるのが現実です。
何よりも自分や子供の身の安全を一番に考え、今から動き出す準備を始めましょう。