配偶者や恋人のあいだで起きてしまうDV(ドメスティックバイオレンス)。
殴る・蹴るなど身体的に受ける暴力を思い浮かびがちですがそれだけではありません。
精神的・経済的・性的・社会的隔離など、身体的に被害はなくても心に大きなダメージを与え、人権を侵害する…これらも全てDVによる暴力です。
私は過去の結婚で、身体的にも精神的にもDVの被害を受けていました。しかしこれもDVだったのか…と後から気づいたことがあります。
それが経済的DVです。
お金は生活の基盤を支える上でとても重要なものですので、それが制限されるということは、自由に生きていくことを奪われることになります。
今日はあまり知られていない経済的DVについて、自身の体験を交えながらお話していきます。
経済的DVとは?
経済的DVとは、相手を経済的に支配し追い詰めていく暴力を指します。
被害は、夫が家計を握っている専業主婦の方に多いと言われています。
借金やギャンブル夫だけがその対象でないため、被害を受けている側もDVだとは気づかずに徐々にその圧力に支配されていきます。
では経済的DVにはどんな特徴があるのでしょうか。
特徴1、給与明細や貯金額を見せない
夫婦が納得していれば、夫側が家計を握ること自体は悪いことではないです。
しかし毎月の給料額や貯金額を聞いても教えてくれない場合は、何か言えない事情や秘密の出費があるのかもしれません。
財産を把握できないことで、妻側は将来の見通しが立てられず、不安な毎日を過ごすことに…。
特徴2、生活費を勝手に決めつける
生活費として、明らかに足りない金額しか渡さない。
勝手にこれで足りるだろうと決めつけて、足りないことを訴えると嫌な顔をしたり怒ったりする。
…これは経済的DVです。
そうなると、追加でお金を貰うことがプレッシャーになりますし、金銭的に夫に支配されているため立場が弱くなります。
特徴3、お金の使い道を細かくチェックされる
無駄遣いはしていないか、新品のものが家にあったら買った理由を説明する。
買い物後は毎回レシートをチェック…。
化粧品や、生理用品までもっと安いのにしろと言われるケースもあるようです。
これでは毎回の買い物自体がストレスになり、毎日生活しづらくなります。
特徴4、妻の自由になるお金がない
先ほどお話したように、夫から足りない額の生活費しかもらえない妻の多くが、この状況になってしまいます。
化粧品を買ったり、友達とのランチや美容院に行くお金もありません。
夫からすると専業で家にいるだけの妻に、そんな事や物は必要ないと思っています。
必然的に付き合いも悪くなり、引きこもりがちに…。
自宅ばかりの狭い生活範囲だけでは、気分も落ち込みがちになり、より一層夫の支配力を高めてしまいます。
特徴5、借金を内緒で作る
ギャンブルや飲み代、または妻に一言も相談せず大きな買い物をして勝手な借金をしている夫も経済的DVに当てはまります。
こういうタイプの夫は、自分で稼いだお金を好きに使って何が悪いという考え方をしています。
また、家族の預貯金を無断で引き出して散財してしまうケースも。
家族がいるのに自分の私利私欲を優先する夫には、日頃から注意が必要です。
特徴6、専業主婦を強制する
頑なに妻が社会に出ることを嫌がるタイプ。金銭的に上下関係を作って妻を束縛しようとします。
お金に余裕があれば専業でもやっていけますが、経済的DVに当てはまる夫の多くは貯金も出来ないほどの収入なのに、強制的に専業主婦を言い渡し、厳しいやりくりをさせられるのです。
私の経済的DV体験
冒頭でお話したように、私は上記の半分以上に該当する経済的DV を受けてきました。そのエピソードを今からいくつかお話します。
自分にかかるお金は自分で払え!妊婦でもスナックで働かせられる
結婚して1児をもうけましたが、元夫は最初から、自分で稼いだお金を人のために失うのを極度に嫌がりました。
「子どもは親の責任だからお金を出すけど、お前を養う義務はない!」が口癖。
ですからベビー用品などの必要なものは元夫が支払ってくれましたが、その他の検診や出産費用は妊娠中に稼ぐよう言われ、お腹が目立つまでスナックで働かされました。
出産後、すぐには働けないので毎日家にいることになりますが、その時も内職の求人を持って来て月2万でも入れるよう言われました。
特に自分が家にいない間に使われている光熱費や、携帯代を払うことが許せないようで、子供のいる部屋以外でのエアコンや暖房器具の使用は禁止。
バレた時は無駄遣いだと怒られ、殴られることもありました。
DV以外では仲の良い時も多く、家族で出掛けたりした際に外食することもありましたが、その時は、主人より高いものを選んではいけない。
生活費の中からの支払いでしたが、必ず「ご馳走様でした」とお礼を言うなど、とても気を遣うものでした。
最低限の生活費!化粧品も100円均一へ
毎月元夫からは12万円を生活費として貰っていました。
光熱費・食費・生活用品・衣料品・子供の教育費・レジャー費・ガソリン代…また毎晩お酒を飲む人でしたのでお酒代など…家賃や税金以外のやりくりを、この金額でやらされていました。
足りない時には、必ずレシートを添付した家計簿を見せ、足りない理由と今の状況を説明します。そしてOKが出た時だけ追加でお金が貰えました。
ですから了承を得られなかった時は、2、3ヶ月前から決まっていた友人との約束を諦めたり、化粧品も100円均一のものに変えたりしてやりくりをしなくてはなりません。
子どもが保育園に入り、パートに出られるようになっても給料は全部元夫に預け、月12万円の支給が変わることはありませんでした。
私は12万の車、夫は好きな車を勝手に買う
私たちが当時住んでいた地域は、田舎でしたので交通の便が悪く、一家に1台どころか1人に1台車を所有しなくては生活できないような所でした。
ですので私にも車は必要でしたが、夫が見つけてきたのは12万円の中古車。私はそれでもとてもありがたく思って、毎日大事に乗っていました。
そしてある時、パートから家に帰ると見慣れない車が1台駐車場に停まっていました。聞けば前から欲しがっていた車を、一言の相談もなしに現金で一括購入したとのこと。
今まで乗っていた故障もしていない車は売って、その購入資金に充てたそうです。
私のパート代や娘の児童手当は、車の購入資金に消えていた
我が家はお金に余裕がないと思っていた私。
何故なら娘の学資保険や私の生命保険などには入れない。など、とても余裕があるようには見えなかったのです。
しかし蓋を開けてみると、私のパート代や娘の児童手当までもが車の購入資金に消えていた事が判明し、一言の相談がなかったことも重なり、非常に無念で悔しかったことは忘れられません。
終わりに…
いかがでしたでしょうか。
当時は金銭的DVという言葉自体まだ浸透していなかったこともあり、これらのエピソードも立派な暴力だと言うことに私は気づいていませんでした。
私の場合、直接の離婚の原因は身体的DVによるものでしたが、今思えば随分前から経済的DVを日常的に受けていたのだと、早く気づいて対処していれば後の暴力被害も防げたのではないかと後悔しています。
お金のことは友人にですらなかなか相談しにくい部分だと思うので、「うちもそうかも…」と気づきながら我慢をして耐えている方も少なくないと思います。
しかし、金銭面の話し合いをパートナーとすることが怖い、躊躇してしまうというのは共に生活していく夫婦としておかしな話です。
1度夫婦関係を見直す必要もあることを考え、これ以上被害がエスカレートしないことを私は願っています。
結婚当初から一切家計は任せられず、引き出しの箱の中に、子供のお小遣いの様に不定期にお金が入っているだけでした。給料明細は見せてくれるので、毎回お疲れ様でした、と言っていました。ボーナスも含め結構な年収でしたが酷いギャンブル依存症で、お金の流れが見えないのをいい事に大金を注ぎ込み、あちこちから借金をしていました。給料日全額返済→お金を借りる、の自転車操業でした。子が小さな頃にパートを始めようやく自分の衣類(1,000円以下のものばかり)が買えるようになりました。美容室は、1,000円カットに行っていいか許可を得て行っていました。とにかくなぜうちはこんなにお金が無いのか、なぜ家計を任せてくれないのか、若い私には恥ずかしながらわかりませんでしたし、経済DVという言葉もまだありませんでした。何度も家計をやらせて欲しいと懇願しましたが、無理でした。
上着等は妹が着ていたユーズドを貰いました。家は家賃もゼロ、私の親の所有物件です。本人は自分の医療保険も払えず、私のパート代から払っていました。水道料金の遅延催促のハガキ、ローンのハガキばかり来ていました。
ギャンブルをする為に結婚したのでしょう。離婚した今でも、自分はそれだけの対象の人間だったんだな、とトラウマになりました。辛いです。